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思考

たとえ、ありきたりでも

 雨が続く空は、どんよりとしている。それと呼応するように、気持ちは晴れない。何を求めているのかさえ、分からないのだから。変化や心の機微は、たしかにある。少しすると元の場所に戻る。その経路だけは覚えている。たとえ暗闇の中でも、あるいは突風で飛ばされそうな茨の道でも。魂の在り方が他と違っているような錯覚は、居場所のない僕に似ている。

★★★

・僕らは

 他者を不快に思う。ありふれた感情。あの人は〇〇だから仕方ない。きっと嫌なことでもあったのよ。いろんな理由を探し、自分の中で納得をしようとする。その防御反応の機能を切ってしまえば、変になるんだろうか。あえてそこに解釈を塗り重ねない。ただ不快に感じるという事実だけを、置いておく。さて、それをどう料理しよう。

 複雑なものをそのままにしておくのは難しい。すぐに最短で単純な短い答えに辿り着こうとする行為は愚かだ。いつまでたっても深みを帯びない。もっと根源的な、あるいはその人を不快に思う理由の奥の部分のところで、思考ができない。ともあれ時間が経てば、黒い気持ちは薄れ、どうして嫌っていたのかさえ忘れていく生き物なのだけど、僕らは。

・その先は

 そんなことはない。自分と考え方が違うあいつが憎くて仕方ないと、あなたは言うんだろう。政治の思想が右だったり左だったり、保守的であろうと革新的であろうと、そのどちらでもない立場であろうと、一緒に生きていくんだよ。タワマンに住む富裕層であろうと、野宿して生活するおっちゃんであろうと、なんの繋がりもなさそうな異なる世界があろうと、一応宇宙的に同じ空を見上げて、今日は散々な日だったなと後悔や感想を持つらしい。

 そこに勝ち負けはない。どんな選択が善き方向へと導くのかを模索する。選挙もするだろう。民主主義が完璧ではないことも分かるだろう。となりに苦しんでいる人がいたら、国境や人種を超えて全力で手を取り合うんだろう。正義という概念を共有することさえ、僕らは捨ててしまったのか。それでもやっぱりあいつは不幸であるべきだと、あなたは決めつけるのであれば。その先は、どう考えよう。

★★★

 このブログを始めて10年以上経つ。思考を言葉にすることで、何か変わったのか。憎しみや憎悪の行き先は、まだ見つからない。それでもやはり、ありきたりな答えがここにある。歴史を繰り返してはならない。戦争こそ、私たちがもっとも野蛮であり遠ざけなければいけない代物だから。明日には晴れ間が見えるだろうか。平和を願う日差しが貴方にも、降り注ぎますように。

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思考

明日の天気

 うだるような気温と照り返す日光。何度、繰り返し失敗してもちっとも大人になれない僕みたいに、またこの季節をめぐる。夏はいったい、あるいはどうしてこんなにも死の気配を漂わせるのか。世界が反転し、ここはまるで浄土みたいだ。もちろん、資本の波が、そこまで押し寄せている。

★★★

・たまには怒る

 かつてマルクスは社会で起きていることを精巧に分析した。このようなお金と商品の流れは、いまにも魂の在り方さえ支配しようとしている。資本主義に代わるものをまだ想像できてない。きっと行き着くところまで、いくのだろう。それは人間が滅びる頃に、やって来るのか。正直、今を生きるのさえしんどいのだよという本音は、インターネットに飲まれていき、誰にも届かない。

 別に貧乏になりたいわけじゃない。一定の豊かさは必要だと思う。でも、出来上がってしまっている社会に対して、何の批判もできないひ弱なやつになりたくない。大きな体制側の言い分を鵜呑みにし、従順なふりをして甘い汁をすって暮らすこともできる。でも、僕の一部が、あるいは全体のなかのひとつの臓器が、違和感を覚える。こんな当たり前は、クソ喰らえだと。

・純粋な言葉

 もはや何に抵抗しているのかさえ、分からない。つまらなくなっていく世の中を横目に、地べたを這いながら日常をおくる方に、息を飲む。そうだ、ひとくくりに生活を理解する必要もない。よく分からない富裕層の価値観があり、ここで守るべき僕のアイデンティティがある。それでも、昨日会った人のことさえ忘れていきそうな現代で、折れそうな心をもう一度起こす。あなたの声を聞くために。

 すり減っていく感覚は、何を意味するのか。もはや声をだすことさえ、阻まれる。この夜が終わるまでに、職場に行く気力を引き起こさなければと戦う。どうか忘れないでほしい。まだこんなしょうもないところにも、必死で砦を守るように、あなたを大切に思っていると発信する人間がいることを。強くはない。でも侵されていない、汚されていない純粋な言葉を紡げるから。

★★★

 暑さが和らぎはじめ、やがて秋が来る。なにも恐れる必要はない。僕らは今日に負った傷のことを忘却し、喧騒に身を委ねて、なにもなかったかのように笑うのだ。大抵のことはどうでもいい。部屋のスピーカーから、いつも聴いている音楽が流れる。愛を叫ぼうにも、すでに誰かが同じようなことを言っていたようにも思う。明日の天気は、今を生きる私にしか分からない。

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思考

裏をかく

 梅雨の始まりを告げるみたいに天気は崩れ、地面はしっぽり濡れている。また夏が来るのだ。暑さを嫌がる同僚を横目に、僕はひょうひょうとしている。照りつける日差し、長い1日、新緑の匂い、うるさいくらいの蝉の声、全てここが世界の果てであることを報せる。やっぱりこの季節が好きなんだと思う。

★★★

・その恐怖について

 僕だけが社会の異物のように排除されていくのは、酷い有様である。マイノリティーを生きることは、ほんのささいなつまずきである。おそらく世界はもっと複雑であろう現実は、宇宙の砂つぶのように忘れ去られていく。世の中のルールって何なんだろう。私は普通のどこにでもいる人間ですと、自分の正しさを振りかざす。その行為こそが野蛮で、僕の嫌いなことのひとつだ。

 変わり者は存在してはいけないと誰からか教わってきたから、そのように事は進むのだけど。聾唖者は職場にいては、効率よく仕事が進まない。言葉の通じない外国人は国に帰るべきだ。障がい者は子どもを産むな。狩られる側のそこはかとない恐怖について、もっと論じられるべきではないか。可能性を奪うな。ここにいると声をあげ続けるのにも疲れた。

・ホームに帰る

 どうやら絶望から諦めに転じて、死を選ぶ人がいるようだ。それも世界の一部だから受けいれてやろう。(ほんとうはそんなのは嫌だ)このぎすぎすとした息がつまる場所から、どんな言葉を紡ぐべきなのか。丁寧に社会をやっていくしかない。浅はかな暴言を吐く輩の相手なんてしたくない。逃げたくもなる。たまにパンチを打つ。そうやって、生きのびてやろう。

 非凡か平凡かはどうでもいい。というかお前はもうまともに、みんなと同じように人生をやっていけないことに気付いている。それならそそくさと支度を済ませて、旅に出よう。荒波に体を揺らし、強風に足元はおぼつかない。傷ついて、涙を流す夜もある。でも、やっていくんだよ。悔しい思いは、忘れるな。理不尽な境遇に抵抗せよ。疲れたら、ここに帰ってくればいい。それぞれのホームに。

★★★

 淡々と過ぎる日常に祝杯を。戦地で暮らす民衆に祈りを。ぎりぎりを生きるお前にエールを。僕は優しくなんかない。自分のことで精一杯だ。やられっぱなしはしゃくだから。選択することは、ときに武器になる。奴らは、弱いやつは決断なんてしないだろうと考えている。その裏をかけ。幸せを渇望せよ。自由を生きることは、そういうことだから。

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日常・コラム・エッセイ

愛の旅

 パートナーと一緒に住み始めて、2年。何が正解かも分からない。知らないことだらけの世界で、なんとか生きていこうとする僕らは、本当に弱い。一陣の風が吹いて、消えてなくなりそうな存在だとしても。僕らはここにいる。そう声をだすべきだと思う。拙い、小さな誰にも届かない大きさでも。

 本当に思っていることを、相手に伝えられたときの喜び。そのエクスタシーを積み重ねていく。小手先でやってもいい。そんな自分も許す。ささいな幸福は、過去に生じた感情を思い出させる。あのとき僕の全てだった家族という共同体を、もう一度、再現しようとする試み。壮大な愛の旅の始まり。ここはまだ、未開の地。

 誕生日を迎える彼のプレゼントを買いに街に出る。結局、自我という牢獄を突き破るには、例えば誰かという他者を利用するほかない。僕がここにいるように、あなたもそこにいた。相手を絶対に傷つけたくない衝動は、どこからかやってきて心の真ん中に居座る。彼の好きそうなお香を購入し、家路に着く。

 偉そうにしている彼らは、いったい何を根拠に支配する側にいるんだろう。いまこの社会が出来上がっているのは、私たちのおかげであるとでもいうのだろうか。それはお前の手柄ではないと、僕たちは言わなければならない。同性愛者の人権を、あるいは障がいのある人の暮らしを、勝ち取るために戦った人たちに感謝を込めて。

 今を生きることは単純に面白い。それに尽きる。あらゆる権力に抵抗せよ。自由を僕らの手に。ばらばらに、好き勝手にする。でも、なんだか胸の奥を熱くさせる、あるいは魂を揺らすものが、共通に何かがあるように思えてならない。そんなものをここで言葉にできたら嬉しい。

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社会の出来事

残像と生きる

 どこかの国が戦争を始めた。間抜け面で見ていたスマホの画面が、それを報せる。どうせやはりなんの落ち度もない子どもが犠牲となる構図を辿る。歴史的な局面を迎えた時、僕らは何を思うのだろう。

 トランプを大統領に選んだのはアメリカ国民だから(全員なわけではないし、もちろん反対する人もいる)、ここ日本で暮らす自分たちには関係ない。はたして、そう言えるのか(高市政権を選挙で勝たせたのだから嘆いてばかりもいられない。そして何度も言うが、過半数の議席を占めたからといって、反対意見もあるしすべての政策に国民がgoを出したわけじゃない)。民主主義が、宇宙に舞う。

★★★

・答えはもう、ある

 お互いを理解することの不可能性。結局、自分と同じ部分を相手に見つけることで安心し、自分と違う部分が相手にあることを許せないのが人間ということか。個人と個人のつながりだけでは、お前の欲望を満たせなかったのだろう。だから、国という大きな枠組みを持ってきて、自らの権力をふるう。それを暴力だと批判することはありきたりで、愚かなことなんだろうか。

 利権を争うであるとか、領土の取り合いであるとか、そんなことはもうどうでもいい。マクロ的な世界の流れの中で、小さくてちっぽけで無力な個人(つまり私たちのことだ)が痛めつけられる風景には見飽きている。傷つきすぎて、もはや涙もでない。となりにいる愛すべき人を守ることでもう精一杯だし、そうすることが幸せの意味であることは、もう分かっている。

・若者へ言葉を送るとしたら

 自分だけが幸せになる。そんな願いはいとも簡単に叶う日本で。そんな力や能力をたやすく手に入れれる情報社会で。何を求め何を欲しているのかさえ、あやふやで複雑すぎる世の中で。可能性が無限にあり、何を選択すべきか正解を強いられる窮屈な教室で。今を生きることでしか育めない感性を研ぎ澄ませ。スマホの液晶が照らすライトで目が覚める朝、空爆で命を落とす民衆がいる。

 結局、いま感じている自分が永遠と続いていくのだということくらいしか、僕には言えない。きっとお金を稼ぐようになる。セックスも経験するだろう。お互いを大切に思うパートナーに出会うし、悲しいこともある。親はいつか死ぬだろうし、幸せなこともある。世界で誰とも違う誰かになることを楽しむ夜は、愉快かもしれない。だから、安心して他人に優しくすればいい。

★★★

 ここに綴る文章は、誰に向けられているのかを考える。あるいは、今生きているこの世界は、誰によって意味付けられるんだろう。究極的には、それは死者だと思う。僕らは死んだ人間に言葉を送り、死んだ人間によって人生を深く掘り下げられる。いわば、あの世で暮らす者の残像と生きているのだ。一刻も早く戦争を終わらせよ。どうせこんなメッセージはお前には届かない。せめて犠牲になった子どもたちへの鎮魂の祈りを込めて。

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思考

道筋を支える言葉として、あるいは聖なる夜に

 年の瀬にはいり街がイルミネーションに包まれた。いつも慌ただしくなる年末に、この1年を振り返る。もちろん成果は欲しい。持て余したアイデンティティが出口を探して彷徨うころ、僕は声にならない思いを吐き出す。ここに紡がれた言葉は一体、誰に届いてるんだろう。来年の抱負はまだ、でてこない。

★★★

・願い

 冬の寒さはいつも憂鬱を連れてくる。誰でもいいから自分を見てくれという幼い願望が疼きだす。無条件に愛されて、自由に原っぱを駆け回っていた無垢な僕はもういない。何もすることがないおっちゃんが公園のベンチで時間を潰す。世界中の孤独をここに集めて、もうひとつの宇宙を作ろう。そこでは排斥主義も差別主義でさえ、見受けられない無限の空が広がる。

 聖なる夜、皆にご馳走を振る舞う天使が羽ばたく。寂しい思いをしている人間に誰も声をかけない。だから僕はこうして文章を書くんだろう。愛なんてものの存在を忘れて、今はただ暖かい布団にくるまり、実感できる幸せだけを自分のものにする。道行く人が狂人に見える日、心に隠したナイフが刃を見せる。どうか暴力が世界を傷つけないように。それだけを願う。

・覚悟ができるまで、そして戦いへ

 会話をする。気持ちがほころぶ。そのプロセスを辿る。だれも僕に興味を持ってくれないから、生きていける。もし神様がいるとしたら、あなたはそろそろ独立した存在を離れ、民衆の1人になればいいと話しかけてみる。そうすると彼は喜んで神であることをやめて、下界に降臨する。メシアとなって、この不条理な社会で、戦争をやめない愚かな人間の相手をしてほしい。いつかのおとぎ話みたいに。

 お金がない。食べるものがない。眠る場所がない。ないものだらけの側に、冷酷な対応をやめない僕らの末路は。優しさを差し出せば、損をする。そんな構造が世に中を形作る。資本主義の限界は、もう見えているんだろうか。価値や所有や贈与の概念を一旦、整理しよう。ここはみんなの場所だから、みんなに発言権がある。荒れ果てた世界にできた、空白のくぼみ。僕はここを守る覚悟をして、戦いにでる。

★★★

 道行く人が僕に意地悪をして、行き先への進路を妨害する。それはただの思い込みだ。自由の獲得を目指してきた先人は、この現代を想像していたんだろうか。訳の分からないセンテンスから、可能性を探す。非意味であることを受け入れるためには、長い過程がいる。その道筋を、僕の言葉で支えることができれば嬉しい。

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日常・コラム・エッセイ

そんな日はこない

 人生でこんな日を迎えるなんて。あの頃の泣いてばかりいた僕には、想像ができなかっただろう。同棲を始めて約1年経ったパートナーにプロポーズをしました。事情を知ってくれている店主に花束を預かってもらい、ディナーの後にサプライズで薔薇を渡す。愛を誓うなんて、かっこのいいものじゃない。ただこれからも一緒に生きていきたい思いを告げる。それはこの慌ただしい社会の歪みにできた、幸福の欠片。

 男2人の暮らしは、この先どんなふうに変わっていくんだろう。いまここにある何気ない日常の先。楽しいことばかりじゃない。未来を想像できない、ほんの少しの不安を覆い隠すように、冬めいた曇り空が流れていく。隙間から覗く晴れ間は、なんだか永遠の象徴みたいだ。でも誰しもが理解しているように、生(せい)というものはいつか途切れて終わる。

 仕事に追われ、せかせかと過ごす毎日。それでも幸せを積み重ねていくことくらいしか、出来損ないの僕らに手立てはない。同性愛に対する偏見を、まじまじとみつめる自分の瞳は、あとどれくらい傷ついたらクリアになるんだろう。涙で前が見えない。そんな日もある。でも世界が多様であることを知っていく過程の中に、希望の光がある。「普通」を乗り越えていく。その決意として。

 ここに文章を綴ることで、何かが変わるとは思わない。リアルタイムで世の中が動いていく。現にいまこの瞬間、死にたくなる気持ちを抱えながら生きている人がいる。人の何かが、変わりたいと切望するパワーをいつも求めている。その場所が窮屈に感じるあなたの感性は、何も間違ってない。時間が経つことを恐れるな。選択をすることが、環境や状況を変化させる。

 僕よりも若い人に何かを届けていくために、幸せを実践していく様子を発信する。いつか他人が自分を認めてくれる日を待っていても、そんな日はこない。だから絶望の中でも、生きれる。舵を切るハンドルは、僕の中にある。見たこともない景色や、感じたことのない気持ちを待つ。プロポーズの日に2人で撮った写真を、笑顔で眺めてくれる母親に感謝を込めて。

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自分のこと

忘れないでいる

 祖母が亡くなり、諸々の手続きに追われ、疲れが出たのかコロナにかかる。ようやく熱も収まり、元気が出てきたところで今、パソコンに向かっている。エアコンの効いた室内で1日中過ごす僕には、季節を感じられるものはない。夏は、どこにいったんだろう。「外はまだ猛暑だよ」と、昨日、仕事から帰ったパートナーが言ってた。

★★★

・感謝を述べる

 夜勤の最中に、その報せはあった。翌日、仕事が終わってから面会した祖母は、何も言わずに横たわっている。死というものは、何なんだろう。有無を言わさず、僕らはこの世界に命をもらい、楽しいだけじゃない、どちらかというと辛いことの方が多い人生を走る。そして、最後はこれまでに何事もなかったかのように、生を奪っていく。何事もなくはない。僕は確かに、彼女のおかげで、今ここにいる。

 不思議と式の最中、涙はでない。人前で感情を出せない不器用な部分を思い出して、いやになる。僕もあの子のように、思いっきり笑ったり泣いたりできたら、いくらか人間に近づけるのにな。しっかりと送り出したい気持ちがある自分は、前よりかは大人になった。骨になった彼女は、小さくなってまとまり、それでもなお存在という意味では、まだ目の前にいるみたいだ。

・ここには何もない

 結局、僕が同性愛者であるとか、そうじゃないとかはどうでもいい。そのことを祖母に言えていたら正解で、言えていないことが不正解じゃない。パートナーとの暮らしがすでにあって、その中で感じる幸せを共有できないもどかしさは、曇ひとつない空に散っていけばいい。理解しあうであるとか、認めあうとかの類の概念を置き去りにして、「一緒に過ごした時間が全てだよな」と祖母に語りかける。

 何かを失って、これまでの自分とは違う自分がここにいる。そんなのは、どこにでもある話だ。時間は、ありとあらゆるものを変えていく。人生も、形も、風景も、気持ちも、色も、命でさえ。人と向き合うことは、少なからずパワーがいる。へとへとにもなるだろう。何かを得たいなら他へ行けばいい。ただ、時が過ぎるのを待つ。それに耐えられないほど、僕は軟弱者じゃない。

★★★

 死んでいくのには、順番がある。いずれ自分の番がくる。それまでは生きる。出来るだけ、素直に、誠実に。忘れないでいること。それくらいしか、僕にはできない。今さら大成功なんて、つかめそうにない。祖母は最後まで聡明で、きれいでした。彼女を思い、パートナーの帰りを待つ。

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心情

移行しました

 画像データを消失しましたが、これからも地道に更新していきます。よろしくお願いします。

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日常・コラム・エッセイ

日常の輪

 外は雨だ。出かける気になれない。アマゾンプライムを開いて、チェックしていた映画を観る。なんてことない休日は、あっという間に過ぎさっていく。何かを取り入れて自分のパーツにしていく。少しずつ引き出しを増やしていく。今はそんなことをしていたい気分。世界は雑音まみれだ。その中から僕にとって意味を成すことを探していく。もちろん見つかることは稀なんだけど。

 最近、新聞記事を書く手伝いをしている。仕事と呼ぶほどではない拙いものだ。それでも新しい体験が刺激になる。何を伝えたいのか。僕というフィルターを通して、社会に放たれる言葉たちは、どんな色をしているんだろう。その人の文章の匂い、手触り、さわり心地。味わい尽くしきれない力は、永遠に近づくような魔法じゃない。それでも水をすくうような優しさを持っている。

 世の中がどんな仕組みで出来上がっているか。そんなたいそれたことではない。刻一刻と変化していく情勢で、いかに生き残るのか。みな必死で戦う。たぶん競争は終わらない。生きていれば知っていく構造を変えるとは、具体的に何を指すんだろう。せめて僕たちは、厳しい世界で、息継ぎができる休憩所を積極的に作るべきなんじゃないか。ゆるく依存できて、ゆるく連帯できるスペースを。

 人との繋がりに利害を持ち込まない。簡単なことだ。ただ気持ちがいいから、あなたといる。そんなだから、ちっとも世界は拡がっていかない。でもそれでいい。開かない人間関係のなかで生きていく。勝手にできていく日常の輪は、徐々に僕の傷を癒す居場所になっていく。守るべき小さな空間の“ここ”から、発信していく。人間を信じてもいいかと思えるまで。

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