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詩的表現

すきま風

心にぽっかり空いた穴を塞ぐ、何かを探していた。

でも、それは最初から無理な探求だったんだろう。

いつから、その穴が存在していたかも、記憶してないんだから。

すべてに満たされた感情は、きっと誰しもが持ち得ていない。

欠けてしまったパーツは、二度と見つからない。

でも、それでいい。

すきま風がはいる余裕さえ、なくしてしまったら、

もう途方に暮れるしかない。

どこまでも不完全な僕らに

行くあてなんかない。

生まれきた命の責任なんて、とりようがない。

ただ、気付けば、不確かで、あやふやな自我がここにあった。

それが、どこからきて、どこへ向かうかなんて

説明しようがない。

もう僕を、暗闇の中へ押し込めるのは、やめにしてくれない。

見栄も、くだらない嘘も、つまらないプライドも、

ぜんぶ捨てる。

たぶん、最果てをみた者はいない。

死を再現できる人がいないように。

いつだって、黒い空は

星の光までも覆い尽くすことはない。

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By 木下 拓也

1987年、大阪生まれ。ライター志望。
兵庫の大学を卒業してから、フリーターとして働いています。
セクシュアリティーは、人生を豊かにすると信じる人間です。
書いて、伝えることを大切にしています。

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